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ガソリンストーブとケロシンストーブ!マルチニップルとシングルニップルの違い!

・プリムスストーブのシングルジェット(ニップル)とオプティマスストーブのマルチジェット(ニップル)の違い

・今日は、オプティマス社のNo2509(2509番)マルチ燃料対応ジェット(ニップル)やNOVAマルチ燃料対応ジェット(ニップル)と、プリムス社のジェット(ニップル)違いについて記述します。

・今回の記事では1つのジェット(ニップル)で1種類の燃料を使用し、ストーブの燃焼を行っているモノをシングルジェット(ニップル)と呼びます。

・1種類の燃料とは、ガソリンに対し、ガソリン専用のニップル(ジェット)、あるいは灯油(ケロシン)に対し灯油(ケロシン)専用のニップル(ジェット)、またガスなどを対応させている場合を言います。

・また、1つのジェット(ニップル)で複数の燃料を使用することが可能で、1つのニップル(ジェット)で複数の燃料を燃焼させて、ストーブの燃焼を行っているモノをマルチジェット(ニップル)と呼びます。

・シングルジェット(ニップル)タイプは、プリムス社の他、コールマン社、MSR社等多くのストーブ・ランタンメーカーに採用されました。

・他方、1つのジェット(ニップル)でマルチ燃料=複数の種類の燃料(灯油やガソリン等)に対応し、マーケット(市場)で評価が高かったのはオプティマスのマルチジェット(ニップル)です。

*オプティマス111にもガソリン燃料に対応したシングルジェット(ニップル)も存在していますが、本日のテーマから乖離するので、本日の記述の対象から除きます。

*また、付属のパーツを使用すると、燃料用アルコールを使用することもできます。

*上記の他オプティマス社はOPTIMUS 00、OPTIMUS 96 等の灯油(ケロシン)ストーブに対応したシングルジェット(ニップル)を製造していました。

ガソリンストーブとケロシンストーブ!シングルジェット(ニップル)の設計思想

・プリムス社のガソリンストーブとケロシンストーブ!シングルジェット(ニップル)の設計思想。

・プリムス社に限らず、多くの液体燃料等を使用するランタン・ストーブメーカーは、『使用する液体燃料等にピッタリ合致し、最高の燃焼状態を発揮する吐出量(としゅつりょう)』を計算し、シングルジェット(ニップル)の口径(ニップルの穴の大きさ)を決定しました。

・この大きさはタンクから押し出される単位時間あたりの液体燃料の吐出量、気化量、タンク内の低圧・中圧・高圧の圧に対応しつつ最適な燃焼状態を得るために、各メーカーのエンジニア(技術者)がデータを採取して、シングルジェット(ニップル)の口径(ニップルの穴の大きさ)を決定しました。

・ガス、ガソリン、灯油等各燃料によって引火点や発火点が異なりますので、どの状態を『最適』とするのかは、メーカーのエンジニア(技術者)の腕の見せ所です。

・またストーブをマーケットで『どのような位置づけ』で販売するかという、企業の戦略的な考え方にも左右されます。

・例えば、エンジニアが強火だけにマッチングしたジェット(ニップル)を作成すると、中火や弱火はグタグタになってしまいます。

・さりとて、中火や弱火だけに着目した場合は、強い火力(火勢)が得られない、パンチの効かないストーブやランタンになってしまいます。

・現在、市場に流通していて、それなりの評価を得ているストーブやランタンは、基本的には、弱火・中火・強火の全域(オールラウンド)にわたって火力を維持することができます!

*ただし、全てのストーブ・ランタンが全く同じ火力特性を発揮するかというと、そうではなくストーブやランタンの構造、メーカーの技術者(エンジニア)が『力』を入れた『視点』(ストーブやランタンの作り方)によって、多少の温度差は出てきます。

*言うなれば、この温度差がユーザー(使う側)にとって、面白いポイントでもあります。

ガソリンストーブとケロシンストーブ!火力を強くするための設計思想

・火力を強くするには、ニップル(ジェット)の単位時間あたりの燃料の流量を増加させる。

・ストーブ(バーナー)やランタンの火力(火勢)を強くするには、数多くポンピングして、ニップル(ジェット)の単位時間あたりの燃料の流量を増加させています。

・この他に火力(火勢)を強力にするには、ニップル(ジェット)の口径を大きくして、単位時間あたりの消費燃料を増加させる方法も考えられます。

・しかしながら、多くの場合、ニップル(ジェット)の口径を大きくすると、燃料の流量に比較して、ジェネレーターやバポライザー等を通過する段階で燃料がシッカリ加熱(加熱が追い付かない)されておらず、したがって正常な燃焼が行えず、挙句の果てにニップル(ジェット)から吹き出る時点で、燃料(燃焼に適していない液体燃料)の駄々洩れが生じ炎上したり、赤火で燃焼が生じてしまうなどの現象が発生します。

*症状的には予熱不足と似ています!

・これらの炎上を防止し、最短な予熱時間のみで本燃焼にシフトすべく、各メーカーのエンジニアがトライ・アンド・エラーの繰り返しで、発見した最適なニップル(ジェット)の口径が、現状のニップル(ジェット)の口径サイズになっています。

・要するに、アウトドクッキングで何人かがワイワイやりながら、非日常を楽しみつつ、危険のない調整済の火力が、イコール工場出荷された状態のニップル(ジェット)の口径の大きさになるということです。

・基本的には良好な状態での燃焼はジェネレータ(バポライザー)等とジェット(ニップル)を1対(いっつい)と考えるべきだと思います。

・どちらか一方を強化しても、片手落ちになってしまいます。

・ロビンは、まだ火入れを行っていないのですが、かなり前に韓国から輸入した灯油を燃料とするストーブ(バーナー)があります。

・この巨大灯油ストーブは、アウトドアクッキング用のストーブ(バーナー)というよりも、お餅つき大会用のストーブ(バーナー)です!

・現在もロッカーに入ったままです。

・予備のジェネレーターも購入したのですが、かなり太いジェネレーターです。

・この韓国製の灯油ストーブ(バーナー)のニップル(ジェット)の口径は、ジェネレーターの太さにリンクしています!

ガソリンストーブとケロシンストーブ!プリムスのシングルジェット(ニップル)

・下の画像の例のようにプリムス社のシングルジェット(ニップル)は、1つの燃料に対し、これに適応した最適なのシングルジェット(ニップル)を適用します。

・下の画像は、プリムス社のシングルジェット(ニップル)です。

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・コールマン550Bや、分離型のコールマンAPEXやMSRのストーブなども、1つの燃料に対し、これに適応した最適なシングルジェットを採用しています。

・基本的には設計思想は全く同じ考え方です。

・かなり前ですが、コールマンのスタッフとお話ししました。

・その際に、スタッフが「コールマン550Bの灯油仕様のジェネレーターは、この原理を使用してガソリンよりも燃料の吸い込み量を減らして、ジェネレーターで内で灯油が十分気化できるようになっている。」と説明していました。

*今、この記事を記述しながら思うのですが、多分、ニップル(ジェット)の内径もガソリンより小さいと思います。

・コールマンのツーバーナーなどを灯油で、ガソリン用ジェネレータとガソリン用ニップル(ジェット)で燃焼させるにはトーチで炙る、あるいは、ジェネレーターのからの気化に十分留意すると、灯油でも燃焼させることは可能です。

・しかし、ジェネレーターを全開にすると気化の速度が追い付かず、赤い火が出てしまいます!

・基本的にはどんな燃料を使用している状態にあっても、弱火ではニップル(ジェット)の口径(穴の大きさ)は小さく(狭く)、中火や強火になればなるほどニップルの口径は拡大していくべきなのですが、そんな都合の良いニップルは存在しないので、弱火・中火・強火の全域にわたって火力(火勢)が維持される『最大公約数的』な口径(穴の大きさ)がエンジニア(技術者)によって決定されます!

・ガスはあらかじめ気化しているので、ニップル(ジェット)の口径はガソリンや灯油のニップル(ジェット)に比べて大き目になります。

*ガスにもOD缶のガスとCB缶のガスがあって、細かい点では異なりますがガスのニップルで最大公約数的なモノで口径を決定しています。

*ガスの種類によってガスニップルⅠ、ガスニップルⅡ、ガスニップルⅢなどを作成するのは、現実的な市場に流通するストーブ・ランタンに合致しません。

・ガソリンはガスに比べると気化はしにくいですが、灯油に比べて気化(燃焼に適する用に加熱した状態)しやすいので、ニップル(ジェット)の口径はガスに比べて小さく、灯油のニップル(ジェット)に比べて大き目になります。

*赤ガスやナフサに近いホワイトガソリンも、細かい点では異なりますがガスのニップルで最大公約数的なモノで口径を決定しています。

*ガソリンの種類によってガソリンニップルⅠ、ガソリンニップルⅡ、ガソリンニップルⅢなどを作成するのは現実的な市場に流通するストーブ・ランタンにはなりません。

・灯油は上記の2種類の比べると、気化(燃焼に適する用に加熱した状態)しにくいのでニップル(ジェット)の口径はガスやガソリンに比べて、狭く(小さめ)になります。

*灯油や軽油やジェット燃料も、細かい点では異なりますがガスのニップルで最大公約数的なモノで口径を決定しています。

*ケロシンニップルⅠ、ケロシンニップルⅡなどを作成することは、メーカーの作成コストや運用を考えると現実的なモノとは思えません。

・このニップル(ジェット)の最適な燃焼状態領域では、例えばホワイトガソリン+灯油の混合燃料の使用が可能となるケースがあります。

・これら上記の考え方を前提に、ストーブの発熱量・ランタンの光量がユーザーにとって最適になるよう、楽しんで貰えるように意思決定され、カタログ数値として記載されています。

ガソリンストーブとケロシンストーブ!オプティマスのマルチフューエル対応型ニップル(ジェット)

・一方、1つのニップル(ジェット)で、ガスやガソリンや灯油等、全ての燃料に対応できるニップル(ジェット)があっても良いのではないかという考え方もありました。

・1つのニップル(ジェット)で、あらゆる燃料に対応できるニップル(ジェット)があれば大変便利になります。

・例えば旅行者は常に行く場所が異なるのだから、いつも等質(とうしつ)の燃料を得ることができない場合があります。

・1つのジェット(ニップル)が複数の燃料に対応していれば、『ある時はガソリン、ある時は灯油等。』そういう場合があっても燃料の違いに悩まなくても良くなります。

・これに伴って、何個もニップル(ジェット)を持って行かなくても、1つのニップル(ジェット)を持参するだけで済みます。

・また簡単に混合燃料などを使用することも可能です。

・上記のような考え方に立脚したのがオプティマスのマルチジェット(ニップル)、マルチフューエル対応型です。

・下の画像は、オプティマス111のサイレントバーナーを俯瞰した画像です。

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・下の画像は、オプティマス111のサイレントバーナーを外して、マルチニップルを写した画像です。

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・下の画像は、オプティマスハイカー(緑色のタンク)のサイレントバーナーを俯瞰した画像です。

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*サイレントバーナーにフレーム(炎)のマークが彫られています。(別名は肉球マークです!)

・下の画像は、オプティマスハイカーのサイレントバーナーを外して、マルチニップルを写した画像です。

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・これもメーカーのエンジニアが英知を絞って、最大公約数的な口径(穴の大きさ)を決定しました。

・この場合は1つの燃料に対する最大公約数的な口径ではなく、全ての燃料に対する最大公約数的な口径の決定です。

・当然ながら、マルチフューエル対応型のマルチニップル(ジェット)の口径の大きさは、最も気化しにくい灯油のニップル(ジェット)をベースとして『若干の味付けが行われ』決定されます。

・ガスやガソリンをベースとしてマルチニップルの口径を決定した場合は、ガスやガソリンの燃焼はOKですが、灯油が気化(燃焼に適した状況)しにくいので灯油の口径をベースとせざるを得ないのです。

・マルチニップル(ジェット)は利便性を向上させた反面、シングルジェット(ニップル)に比較すると、使用する燃料によっては燃焼効率はやや劣る場合があります!

ガソリンストーブとケロシンストーブ!シングルジェットとマルチジェット両方の特性を知って楽しんでいます!

・若干、粗雑な表現になりますがシングルジェット(ニップル)は、単一の使用燃料の特性に合わせた仕様になっており、燃焼のピークや性能曲線は、マルチニップル(ジェット)に比べ優れていますが、他方、1つのジェット(ニップル)で複数の液体燃料を扱えないという問題点があります!

・また、マルチニップル(ジェット)は、複数の種類の使用燃料の特性に合わせた仕様になっており、燃焼のピークや火力特性は、シングルジェット(ニップル)に比べ優れていない点が散見されますが、反面、1つのジェット(ニップル)で複数の液体燃料を扱えるという優れた点があります!

・シングルジェット(ニップル)、またマルチジェット(ニップル)のどちらかが良い、悪いということではなく、ストーブ(バーナー)の特性を知ることによって、楽しみ方が異なってくることと思います!

・ロビンは極地や高山に行かないので、アウトドクッキングはカセットコンロやガスツーバーナー等で十分なのですが、各メーカーのエンジニア(技術者)に作っていただいた作品(ストーブやランタン)を購入して、メンテナンスを行いコテージや河川敷やフィールドなどに持参しています。

・ロビンが所有しているランタン・ストーブは、通常コテージやホワイトベースや河川敷などで使用するには、明らかに『オーバースペック』であることは、100%理解していますが、やはり『この手のモノが好きなんです!』

・アウトドアはオーバースペックありの、『非日常生活』なのかなとも思います!

・上記の記述内容には、ストーブやランタンの改造を含んでおりません。今回の記述内容は、ニップル(ジェット)とジェネレータの燃焼(相関)対応だけについて記述しております。